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ビジョナリー・カンパニーの新作、弾み車の法則=企業経営のスケールの法則

要は、再現性のあるビジネスサイクルを回し続けることが大事という話です。逆に企業は 一発逆転を狙いだしたら死にます。これは衰退していく5段階の4段階目となります。

谷に落ちる前になんとか向こう側へジャンプ

ここを突破して5段階目「屈服」に入ってそこから復活できた企業はありません。4段階目のうちに、はずみぐるまをみつけてまわしつづけましょう!

アルケミスト
アルケミスト
さてさてみなさんこんにちは!アルケミストです!

今日は、ビジョナリー・カンパニーの新作、弾み車の法則の要約・紹介をしたいと思います。

大きな成功を収めるための、最重要ロジックが、弾み車の法則です。英語で、FLYWHEELですか?

私の好きなビジョナリー・カンパニーシリーズは、ひとつ難点をあげるとすれば、本が分厚いということだったんですが、今回の新作は、なんと全91ページです!!!読みやすい!

Tomy
Tomy
けど奥がふかい!

はずみぐるまってなんやねん?という感じなんですが、そこらへんを中心に10分で説明したいと思います。

そもそも著者である、ジム・コリンズ(Jim Collins)さんの紹介から。

世界で最も影響力のある経営思想家と言われています。

元スタンフォード大学経営大学院教授。

1995年に故郷のコロラド州ボルダ―に経営研究所を設立し、「偉大な会社を動かすものは何か」を追求し続けている。

著書に『ビジョナリー・カンパニー 時代を超える生存の原則』、『ビジョナリー・カンパニー2 飛躍の法則』、『ビジョナリー・カンパニー3 衰退の五段階』、『ビジョナリー・カンパニー4 自分の意志で偉大になる』がある(世界各国での累計部数は1000万部以上)。

帯に、なぜアマゾンの成長はとまらないのか?と買いてありますが、AMAZONのジェフ・ベゾスさんとマンツーでたくさん話したらしいこの「弾み車(はずみぐるま)の概念」行きましょ!

巨大で重い弾み車を思い浮かべてみよう。金属製の巨大な輪であり、水平に取り付けられていて中心には軸がある。

直径は10メートル程、厚さは60センチ程、重さは2トン程ある。この弾み車をできるだけ速く、できるだけ長期間に渡って回し続けるのが自分の仕事だと考えてみる。

 さぁ、あなたは、どうしますか?

とりあえず、押してみましょうか?

必死になって押すと、弾み車が何センチか動く。動いているのかどうか、分からない程、ゆっくりした回転だ。それでも押し続けると、2時間か3時間経って、ようやく弾み車が一回転する。

さぁ、あなたは、どうしますか?

いつまで経っても、早く回らないと思って諦めますか?

それとも、2時間、3時間、一生懸命に押したので、休憩しますか?

それとも、飽きたので、逆にでも回してみますか?

押し続ける。回転が少し早くなる。

力を出し続ける。ようやく2回転目が終わる。

少し早くはなったが、やっとのことで、2回転です。

さぁ、あなたは、どうしますか?

この本の中では、押し続けます。

同じ方向に押し続ける。3回転、4回転、5回転、6回転。

徐々に回転速度が速くなって行く。

11回転、12回転、どんどん速くなる。20回転、30回転、50回転、100回転。

明らかに様子が変わってきました。

そしてどこかで突破段階に入る。勢いが勢いを呼ぶようになり、回転がどんどん速くなる。弾み車の重さが逆に有利になる。

1回転目より強い力で押している訳ではないのに、速さがどんどん増して行く。

明らかに様子が変わってからだけを見ている人には、どのように映るか?

特別な運や素質に恵まれていて良いな~とかと思うのかもしれません。

しかし・・・

どの回転もそれまでの努力によるものであり、努力の積み重ねによって加速度的に回転が速まって行く。

1000回転、10000回転、100000回転になり、重量のある弾み車が飛ぶように回って止めようがないほどの勢いになる。

「弾み車の概念」は、「PDCAとビジネスモデル」の概念に通ずるものだと考えます。そして、

そこには再現性があるかないか?

業績の良い企業や部署、仕事のできるビジネスマンを見て、それが特別な運とか素質に恵まれているからだと決めつけている人がいるかもしれません。

確かに稀にそのような人もいるのかもしれませんが、再現性はありません。

多くは、他人が何もしていない時に、人知れず、重い弾み車を押し続けていた成果なのだと思います。

決して特別な一押しで、弾み車が勢いよく回転することはありません。

そして、さらなる飛躍は当然ながら、現状を維持する上でも、この弾み車を回し続けなければなりません。

さて、この法則を活用して成功したアマゾンをはじめ、大手投資ファンドのバンガード、インテル、新進気鋭のベンチャーであるジロ・スポーツ・デザインなど、さまざまな企業の「弾み車」を図説し、優れた「弾み車」の存在がいかに企業経営において重要なのかをこの本の中で説かれています。

自社の弾み車を明確にする手順

「自社の弾み車を明確にする手順」が示されていることが秀逸です。

このとおり考えればきっと強力な自社の「弾み車」が見つかることでしょう。

また、創業から10年以上経った会社であれば、「弾み車」が上手く機能しなくなることがあると思いますが、そんな時の対処法も示されています。

さっそく、ポイントをチェックしてみましょう。

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◆アマゾン・ドットコムの弾み車

→より多くの商品の価格を下げる

→サイトの訪問客数が増加する

→サードパーティの売り手が集まる

→品ぞろえが広がり、配送網が充実する

→固定費あたりの売上が伸びる

優れた弾み車の力を侮ってはならない。

とりわけ非常に長い期間にわたって勢いを蓄積したときの威力は、途方もないものになる。ひとたびまっとうな弾み車が構築できたら、何年、何十年もその刷新や拡張を続けていくべきだ。

 

◆バンガードの弾み車

→低コストの投資ファンドを提供する

→顧客のために高い長期リターンを実現する

→強固な顧客ロイヤリティを醸成する

→運用資産が増加する

→スケールメリットが生じる

 

◆インテルの弾み車

→顧客が熱望する新たなチップを設計する

→競合企業が追いつく前に高価格で販売する

→単位あたり原価を下げる

→価格が下落しても利益を確保する

→利益を研究開発に再投資する

真に偉大な会社において、成功をもたらす要因が特定の事業、製品、アイデア、あるいは発明であることはまずない。それはきちんと考えられた、根底にある弾み車のつくりである

弾み車を正しく設計しそのうえで刷新や拡張を加えることで、少なくとも一〇年、たいていはそれよりはるかに長い期間にわたって事業を正しい方向に導き、勢いを強める効果が期待できます。

以下は本著からの引用です。

ジロスポーツデザインのジェンテスはナイキを研究し、重要なヒントを得た。スポーツ用品の場合、社会的影響力の階層がある。

たとえばツール・ド・フランスの勝者があるヘルメットをかぶれば、熱心なアマチュア・サイクリストがそれを欲しがるようになり、それが徐々に下の階層へ降りていき、ブランド力が高まる。

ジェンテスはこの気づきを立証するため、なけなしの資金をはたいてアメリカ有数の自転車選手、グレッグ・レモンのスポンサーとなり、ジロのヘルメットをかぶらせた。

弾み車が失速あるいは動かなくなる理由は二つ考えられる。

一つは、根底にある弾み車に問題はないが、一つひとつの構成要素の革新、完璧な実行ができていないことだ。

この場合、弾み車に新たな息吹を吹き込む必要がある。もう一つは、根底にある弾み車がすでに有効性を失い、大がかりな変更が避けられなくなっていることだ。どちらが当てはまるのか、正しく見きわめる必要がある。

企業規模が大きくなると、それぞれ微妙に異なる複数のサブ弾み車がまわるようになる。

まとめるとこの本は、『ビジョナリー・カンパニー』シリーズの重要コンセプトをコンパクトにまとめ、学びやすくした、便利な一冊です。

既に同シリーズを読んだ方が講師を務め、本書を使って研修をするとベストでしょう。

経営コンサルタントの方も、便利なツールですので、ぜひ、読んでみてください。

そしてこの本からだけでなく、弾み車の解説がある、ビジョナリー・カンパニー2から、引用です。

革命や、劇的な改革や、痛みを伴う大リストラに取り組む指導者は、ほぼ例外なく偉大な企業への飛躍を達成できない。

偉大な企業への飛躍は、結果を見ればどれほど劇的なものであっても、一挙に達成されることはない。

たった一つの決定的な行動もなければ、壮大な計画もなければ、起死回生の技術革新もなければ、一回限りの幸運もなければ、奇跡の瞬間もない。

逆に、巨大で重い弾み車をひとつの方向に回し続けるのに似ている。ひたすら回し続けていると、少しずつ勢いがついていき、やがて考えられないほど回転が速くなる。

正しいやり方をひたすら続けていく。そのうち成功が加速していく。

一定の営業活動を一定期間ひたすら続けるとある程度の成果が出てきます。

そして、内容を手直ししてまた続ける。たったそれだけの継続でしたが、私の受け持ったプロジェクトチームは、大きく成果を出すことができました。

もしかすると、ほとんどの組織は決めたことの継続と実行ができていないのでは?と気づくきっかけにもなりました。

さいごに

Amazonの成長は止まらないのは、ひたすら「弾み車」を回し続けているからだ!

最後に、一番大事な著者のコメントです。

大きな成功を収めるのは、大きな成功弾み車を10回まわしたら、さらに10億回まわし続ける会社だ。

10回まわしたら新しい弾み車で1からやり直し、それが10回転したらまた別の何かへとエネルギーを浪費する会社ではない。

100回転させたら次は1000回転、さらに1万回転、100万回転、1000万回転とまわし続けよう。