ちょっとコロナウィルス騒ぎすぎじゃないかい?と思うのは、インフルエンザのほうがよっぽど患者多くないですか?日本で現在約90数名、インフルエンザの流行年は、1000万人かかってるんすよ。みたいな思い込みって必ずありますよね・・・
Contents
ファクトフルネス
まず、この本からお伝えしたい点は3つあります!
- 世界はどんどん物騒になり、社会の分断が進み、環境は悪化していると多くの人は思い込んでいる。しかし統計データを見ると、世界は基本的にどんどん良くなってきている。
- 人々が世界を誤って認識している原因は、本能からくる思い込みにある
- 本書で紹介する「ファクトフルネス」を日常に取り入れていくことで、そうした思い込みから脱して事実に基づく世界の見方ができるようになる。判断力が上がり、何を恐れ、何に希望を持てばいいのかを見極められるようになる
本書では冒頭に13問の3択が用意されています。そのひとつを紹介しましょう!
質問「 世界の人口のうち、極度の貧困にある人の割合は、過去20年でどう変わったでしょう?」
A 約2倍になった
B あまり変わっていない
C 半分になった
正解はCです。
ところが正しく答えられたのは世界平均で7%だけ(2017年14カ国・1万2000人を対象に行なわれたオンライン調査による)。これは無知のせいだからでしょうか?
著者らは、さまざまな国のさまざまな分野で活躍する人々に一連の質問をしてきたのですが、いずれも正当率は低かったようです。
学歴の高い人や、国際問題に興味がある人たちの場合も同様だったのです。
そもそも無知が原因であれば、ランダムに答えた場合の(あるいはチンパンジーに選ばせた場合の)3択なので、33%に近づくはずである。
何も知らないというよりは、みなが同じ勘違いをしているのではないかと思われた。実際に回答の傾向をみると、誤った2つの選択肢のなかでも、より極端なものが選ばれることがわかったそうです。
たとえば、私たちは次のような考え方に染まっていないでしょうか?
世界では戦争、暴力、自然災害、人災、腐敗が絶えず、どんどん物騒になっている
金持ちはよりいっそう金持ちになり、貧乏人はよりいっそう貧乏になり、貧困は増え続ける一方だ
何もしなければ天然資源ももうすぐ尽きてしまう
いかにもメディアでよく聞く話だし、こうした考え方は人々に染みついていますが、著者らは「ドラマチックすぎる世界の見方」と呼んでいる。
精神衛生上良くないうえ、そもそも正しくない考え方でしょう。
その原因は、私たちの脳にある。遠い祖先の時代から長年にわたってサバイバルするために必要だった本能
――差し迫った危険からとっさに逃れるための「瞬時に何かを判断する本能」、悪い予兆を聞き逃すまいとする「ドラマチックな物語を求める本能」――
が、世界についてのねじれた見方を生んでいるのであります。
世界はこうしたドラマチックすぎる見方に反して、基本的にどんどん良くなってきています。
本書で紹介する「ファクトフルネス」という習慣を毎日の生活に取り入れて訓練を積めば、事実に基づいて世界を解釈できるようになるということを伝えてくれています。
世界は分断されていないのかも
私たちは先進国に住んでおり、それ以外の地域に住む大半の人々は惨めで困窮した生活を送っていると思い込んでいるみたいです。
しかし現実はそうではありません。著者らは「先進国」「途上国」という旧来の分類に代わって、世界70億の人口を1日あたりの世帯所得をベースに、次の4つのレベルで考えることを提案しています。
レベル1 1日2ドル 10億人 移動手段:徒歩
レベル2 1日4ドル 30億人 移動手段:自転車
レベル3 1日16ドル 20億人 移動手段:バイク
レベル4 1日32ドル以上 10億人 移動手段:自動車
読者の大半が属しているのはおそらくレベル4で、10億人がここに分類されています。
いっぽう私たちがイメージをしているような貧困に悩んでいる人々はレベル1の低所得層で、こちらも世界におよそ10億人いるそうです。
レベル2以上の中所得の国と高所得の国を合わせると人類の91%になり、そのほとんどはグローバル市場に取り込まれ、徐々に満足のいく暮らしができるようになっています。
また実はレベル1の国でも平均寿命は62歳で、多くの人は食べ物に困らないし、ある程度安全な水道水を飲める。ワクチンを接種している子どもも多く、多くの女の子は小学校を卒業します。
このように所得の分布をとっても、世界は分断されておらず、連続した地続きなのは明らかにも関わらず私たちは、何事も2つのグループに分けて考えたがります。
世界は分断されているという思い込み、つまり「分断本能」にとらわれており、その結果いわゆる「二項対立」を求めてしまうのです。
良いか悪いか、正義か悪か、自国か他国か。世界を2つに分けるのはシンプルだし、直観に訴える力があるのですが、これが「世界には分断が存在する」という考え方が根強く残っている理由なのかもしれません。
そしてこうした考えが現在の世界の見方に、大きなバイアスをかけているのです。
分断本能から逃れて、現実を正しく見るためには、次の3点に気をつけよう。
(1)「平均の比較」
――平均は情報を素早く伝えられる上に、役立つヒントを得られることが多い。ただしそれを単独で用いた場合、分布が隠れてしまうという欠点を持つ。たとえば数学テストの男女の平均点を出すと、「527点対496点」という数字が出てくる。このように異なる独立した数字は、分断を際立たせる。しかし得点分布にしてみると、2つのグループはほとんど重なり合っていることがわかる。違いは分布のわずかなピークのずれに過ぎない。
(2)「極端な数字の比較」
――世界で最も格差が大きい国といわれるブラジル。そこでは最も裕福な10%の人たちが、国全体の所得の41%を懐に入れている。メディアはこうした数字を、サンパウロのスラム街の風景にオーバーラップさせがちである。しかし実際のブラジル国民の大半は極度の貧困を抜け出し、レベル3の生活を送っている。バイクや眼鏡を買い、貯金をすれば子供を高校に行かせることのできる世帯だ。社会には「分断」といえるほどのものは見当たらない。ほとんどの人は真ん中にいる。
(3)「上からの景色」
――この本の多くの読者のように、レベル4の生活を送っている人には、レベル3、2、1はみな同じくらい貧しいように見えてしまう。しかし「下界」に住む人にとって、レベル1~3の違いは非常に大きい。
ドラマチックすぎる「分断された」世界の見方の代わりに、4つのレベルで考えます。これが本書が伝授する「事実に基づいた思考法」の1つめにして最も大事なポイントなのです
ネガティブ本能とは?
次のうち、あなたの考えに最も近い選択肢を選んでみましょう。
A 世界はどんどん良くなっている。
B 世界はどんどん悪くなっている。
C 世界は良くなっても、悪くなってもいない。
世界30カ国の調査からは、世界の大半の人は、「世界はどんどん悪くなっている」と考えていることがわかった。だが実際には、数えきれないほどの「小さな進歩」の繰り返しが世界を変え、数々の奇跡を起こしてきたという事実があります。
極度の貧困の中で暮らす人々(レベル1に暮らし、1日2ドル以下で生活をする人々)の割合は、1997年には世界の人口の29%を占めていたが、2017年には9%まで下がりました。
いま世界の大部分は真ん中のレベル、つまりレベル2と3に暮らしている。これは1950年代の西ヨーロッパや北アメリカと同程度の生活水準です。
もうひとつ世界の平均寿命を見てみるとまた学べます。1973年には約60歳だったが、現在では約70歳になりました。これは高所得国だけの数字ではありません。わずか40年のあいだに、世界全体で10歳も寿命が伸びたのです。
このほかにも、世界がどんどん良くなっていることを示す指標には事欠きません。。それにもかかわらず、人々は「世界はどんどん悪くなっている」という思い込みからなかなか抜け出せない。その原因は私たちの「ネガティブ本能」にあると言います。
ネガティブ本能にからめとられている私たちは、どうすれば物事が良くなっていることに気づけるのでしょうか?
「世界は良くなっている」といっても、万事オーライというわけではない。頭の中で「悪い」と「良くなっている」という2つの考え方を同時に持つように心がけましょう。
また悪いニュースのほうが広まりやすいのもあります。
メディアや活動家は、人々のネガティブ本能に訴えかけて利益を得ようとしているのです
いくら良心的な報道機関であっても、中立性を保ってドラマチックでない世界の姿を伝えるのは非常に難しいということがわかります。
そしえ「なにひとつとして世界は良くなっていない」と考える人は、次第に「何をやっても無駄だ」と考えるようになります。
そして世界を良くする施策に対しても否定的になってしまうのです。ネガティブ本能がもたらす悪影響のうち、最悪なのは希望を失うことなのです。
もちろん著者らは、「世界はなにもかもがうまくいっていて問題はひとつもない」と言っているわけではありません。実際に起きる可能性が高いリスクとして、
今回のコロナウィルスのような感染症の世界的な流行、金融危機、世界大戦、地球温暖化、そして極度の貧困の5つを挙げています。
極度の貧困は、目の前にある現実です。レベル1にいる10億人が、人間らしく暮らすために必要なものはわかっています。
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