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エンジェル投資家【夢に投資してくれる天使の正体】天使はいるのか?!

私も、これまでさまざまな案件に投資してきましが、あらためて、エンジェル投資家の生態についてお伝えしていきたいと思います。

エンジェルって何?

それは、私達がやりたいビジネスに投資してくれる人たちです。

「ピッチ」や「アクセラレータープログラム」といった、スタートアップに関する言葉をメディアでよく見かけるようになった方も多いのではないでしょうか?

コロナ禍の影響で状況は変わりつつありますが、日本は、20~30代のミレニアル世代の起業家が中心となった「第4次ベンチャーブーム」と呼ばれる活況の中にいます。

今回は、ビジネス・スタートアップ、つまり起業の世界と関わりがなかった人向けに、スタートアップとそれを支援するエンジェル投資家のリアルを伝えていきたいと思います。

「日本人は起業家マインドが低い」、「アメリカや中国に比べてユニコーン企業が創出されない」。そうした状況にも着実に変化が起きていることを実感していける内容です。

本日お伝えしたい要点は3つ、

要点1
エンジェル投資家の多くは成功した起業家出身で、ビジネスで培った目利き力を活かし、成長初期のスタートアップに自己資金を提供します。スポーツ選手やタレントなどもエンジェル投資に乗り出しています。

要点2
ネットを通じて会社員がスタートアップ企業に手軽に投資できるサービスが登場しています。エンジェル税制の後押しもあり、エンジェル投資が身近になっています。

要点3
2019年当時は「バブル」といわれていて、すでにピークは過ぎつつあります。スタートアップ投資が一気に冷え込む2020年問題を乗り越え、日本を再興するためには、スタートアップによる産業創造が必要です。

エンジェル投資家

エンジェル投資家とは、創業間もない企業に個人で資金を提供する投資家を指します。

米国では以前から多くの投資家が積極的に活動しています。

だが、最近になって日本でも急速に台頭し始め、スタートアップ業界盛り上がりの立て役者となっています。

エンジェル投資家の多くは成功した起業家出身です。

ビジネスで培った目利き力を活かし、成長初期の企業に自己資金を提供します。

投資候補の中には、製品やサービスを公開する前だったり、ビジネスモデルをまとめたプレゼン資料しかなかったりする企業もあるといいます。

エンジェル投資家は、自らの判断でリスクを負い、長期保有を前提に、それらの企業に投資するわけですね。

投資額の大半は数百万円から1千万円前後。

うまくいけばホームラン級のリターンを期待できます。たとえば、時価総額が1億円の企業の株式を10%保有していた場合、その価値は1000万円。

その企業が時価総額1000億円のユニコーン企業に成長すれば、手元の株式価値は100億円に跳ね上がります。

一方で、スタートアップの成功は「千三つ」といわれるほど厳しい世界でもあります。

中小企業庁の調査によると、新たに設立された会社のうち、約2割が1年以内に廃業するというのです。

株主の地位は債権者に劣後するため、廃業すれば、たいていの場合、保有する株式はただ同然となってしまいます。

スタートアップ企業投資の顔ぶれが変わった

これまで日本でも若き起業家を親身になって支援する人は数多く存在しました。ただし、投資家として複数のスタートアップ企業に自己資金を投資する人はわずかでした。

ベンチャー企業に投資するといえば、ベンチャーキャピタル(以下VC)や銀行が主でした。

VCとは、スタートアップへの投資を専門とするプロフェッショナル集団を指します。それらが相手にするのは、主に設立後数年が経過して事業が軌道に乗った企業です。日本では創業初期を支える資金の出し手が長らく不足していました。

では、これまでエンジェル投資が活発でなかった理由は何だったのでしょうか。それは、起業経験を持つ富裕層の数が少なかったこと、未公開株への投資自体が世間から理解されにくい傾向にあったことが挙げられます。

エンジェル投資家に加え、最近は大企業の投資意欲も高まっています。事業会社からスタートアップ企業への直接投資は、コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)を含め、急拡大しています。

その背景には、技術革新による産業構造の変化が進むにつれ、本業に安住できないという事業会社の危機感があります。

起業家側も、IPOだけでなく大企業への売却を前向きに受け止めるようになってきている。

エンジェル投資家が見極めるポイント

エンジェル投資家と起業家の出会いは、よりカジュアルになってきました。

積極的な起業家は、SNSなどを通じて投資家に直接アプローチをすることができます。投資家は、気になった案件があれば、SNSのチャット上で一次面接を実施します。

さらに興味が湧けば、ピッチと呼ばれる対面面接に移ります。

起業家は著名なエンジェル投資家に対しては、特に熱烈にアプローチします。

単に金銭的なメリットがあるからだけではありません。

的確な経営助言を期待できること、著名投資家から投資してもらうと箔がつき、他の投資家からの関心を集めやすいこと、出資決断のスピードが格段にはやいことに、メリットを感じているためですね。

一方の投資家は、投資判断のポイントとして起業家の人間性を見ています。

「1番目は人、2番目はアイデア、3番目にマーケット」という投資家もいます。

とはいえ、スタートアップ企業は不確定要素が多く、適正な時価総額を算出するのは、決して簡単ではありません。

実際の算定は投資家の勘や経験が多分に反映され、「アートの世界」といわれるほどです。

スタートアップ業界の登場人物の変化

ビジネス界だけでなく、スポーツ界、芸能界にもエンジェル投資家が増えてきている。

サッカー選手である本田圭佑氏の累計投資件数は、50社を上回ります。これまで、発展途上国でのサッカー教室開設や学校建設の社会活動を行ってきました。

ですが、自分の寄付だけでは限界があることに気がつき、そこで始めたのがエンジェル投資でした。投資ならば獲得したリターンを次の投資に回したり、寄付に使ったりすることも可能だからです。

才能豊かな起業家を多数支援することで、よりよい世界に一足跳びで近づけるのも、エンジェル投資家の魅力だといいます。

立場逆転? 起業家獲得競争

業界の好況が長く続いたため、2019年12月時点では、投資家、VC各社は将来有望な案件の獲得に必死になっています。

一部の注目スタートアップ企業には、あまたの投資家が列をなすほどだ。あるベンチャーキャピタリストは、起業家の信頼を得るため、オフィスの引越し作業から恋愛相談まで、なんでも手伝う御用聞き状態だといいます。

金融緩和競争を背景に世界各国で投資マネーがだぶつく中、日本でも投資家と起業家の立場が逆転し、投資家同士の競争が激化しています。

ネットでエンジェル投資、株式型に参入続々

資金調達方法の一つに、株式型クラウドファンディング(以下株式型CF)があります。これは、未公開企業がインターネット上で不特定多数から資金を募る新たな手法であり、2015年に解禁されました。

企業は専門のサイトを通じて、ネットで数多くの投資家に出資の勧誘ができ、投資家は見返りとして株式を取得できます。

個人がスタートアップ企業に投資する際、税負担が軽くなる優遇制度があり、それを「エンジェル税制」と呼びます。

その後押しもあり、2018年の資金調達額は、前年比2倍超に拡大した。運用益をあげられなくても所得税が安くなるので気軽に投資しやすく、サラリーマン投資家も増えました。

株式型クラウドファンディングは他にもメリットがあります。一人の投資家が投資できる額は、同一の会社につき年間50万円以下に制限されているため、自然と投資家の数が多くなります。

CFを利用してエンジェル投資を始めた個人投資家は商品・事業の特性を理解しやすい消費財の企業に投資する傾向があります。

日本の個人金融資産は1800兆円と米国に次ぐ世界2位を誇り、今後の株式型CFの伸びが予測されます。

メリットの大きいインターネット資金調達

ネットを介した資金調達は、その調達スピードが、短期間での急成長をめざすスタートアップにとって魅力となっています。

事業のコンセプトが明確であれば、1分以内に目標金額を達成することも不可能ではありません。通常の資金調達と違って、VCやエンジェル投資家を回ってプレゼンを繰り返す必要はなく、本業に集中できます。

それ以外にも市場調査、ファン獲得など、多くのメリットを享受できます。

また、エンジェル投資家やVCが身近にいない、地方発のスタートアップにとって
も、ネットを介した資金調達が有益です。

これまで地方の起業家は、「ダイヤの原石」が多いといわれながらも、なかなか資金調達がうまくいっていませんでした。

承継問題を解決しないと2025年には、累計約650万人の雇用と約22兆円のGDPが失われるといいます。

そこで、地方の課題解決をめざす地方発スタートアップへの注目がさらに高まり、株式型くらんどファンディングがそれを支えていくことが期待されている。

2020年問題とあるべき日本再興とは

東京は「アジアのシリコンバレー」と呼ばれるほど、スタートアップ業界から注目されています。

なぜなら、日本は経済規模に比べて、起業家の数が少なく、起業家の生存競争が緩いからです。

言語や文化の違いが壁となって外資の参入が少ないこと、オフィスの賃料が安く、優秀な人材を集めやすいこと。こういった理由から、日本で起業する外国人起業家は年々増えています。

多彩な職種から増える人材流入

最近のスタートアップ業界には、弁護士や医師、キャリア官僚といった華やかな経歴を持つ人材の越境流入も目立ちます。

調達資金の規模が拡大するなか、投資銀行のOBは、財務戦略に詳しい人材が不足しているスタートアップ業界で引く手あまたとなっています。

また、働き方改革、副業解禁により、会社に在籍しながら起業の準備がしやすくなってきました。こうして起業のハードルが下がり、多彩なメンバーがスタートアップ業界に流入しているのです。

過熱するスタートアップ投資ブームについては、課題も露呈しはじめています。

スタートアップ企業は成長を最優先し、コンプライアンスやガバナンスをなおざりにしがちです。

例えば、莫大な先行投資と想定以上の開発困難により、資金不足で破綻するといったケースも出てきています。

安全性を置き去りにしたスピード重視経営姿勢があだとなり、巨額の不正流出事件
を起こした、仮想通貨交換会社コインチェックの事例は記憶に新しいでしょう。

投資家には、資金を出すだけでなく経営をチェックする役割も期待されています。2020年には、急拡大のひずみから、スタートアップ投資が一気に冷え込み、厳しい局面を迎えるとされています。

これは「2020年問題」と呼ばれています。

少ない起業家の数と余る投資マネーの量を調整しない限り、日本のスタートアップの根本的課題は残ったままです。

日本はアメリカ、中国と比較して、ユニコーンの数が圧倒的に少ないのです。

民間から活発に事業を興して国を繁栄させるという原点に立ち返ることが、日本再興の一歩となるでしょう。日本経済の底上げには、スタートアップの発展が欠かせないのです。